クリーニングが失敗したときの賠償額はいくらか、支払われない場合もあるので要注意

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クリーニング事故の賠償基準はいくらもらえる?

  • 衣類が破れてしまった
  • 汚れがひどくなった
  • 途中で紛失した

など、クリーニングを利用すると、トラブルが発生する場合があります。トラブルにあった利用者としては、被害にあった衣類の補償がされるのか、とても心配です。

ほとんどのクリーニング店は、万が一事故が起こった場合の賠償基準を定めています。

クリーニング中に衣類を破損したり、紛失したりしたときに、利用者に賠償金を仕払う仕組みができているのです。

多くのお店が採用しているのが、クリーニング賠償問題協議会が発行する「クリーニング事故賠償基準」です。

国民生活センターや消費生活相談窓口においても、この賠償基準に基づいて紛争の調整をします。

なかには、独自の賠償基準をもつ企業もありますが、大半のお店がこの基準にのっとって賠償を行います。

クリーニングが失敗して、お店に賠償してほしいと考えている方は、この賠償基準を知っておくと、お店とのやりとりがスムーズになります。

しかし、この賠償基準は、複雑な文章で構成されています。ぱっと見ただけでは、内容がなかなか理解できません。

そこで、本記事では、クリーニング事故賠償基準の内容やポイントを簡単にまとめました。

クリーニング利用時に事故に合わないための工夫についても触れています。

クリーニング店に賠償を請求できるケース

クリーニング店に衣類の賠償を求める場合は、お店側に過失があったと証明できなくてはなりません。

利用者やアパレルメーカーに原因がある事故の場合、クリーニング店は賠償する責任はないのです。

クリーニング店に責任がある事故事例

クリーニング店に責任があり、賠償請求が行える事故事例は以下のとおりです。

  • ドライクリーニング中に汚れが付着した場合
  • シミ抜き作業中の、脱色・変色・損傷など
  • クリーニング機器による、破れや穴あき、部品の欠損
  • ドライクリーニングや乾燥作業中の、縮み

このほかにも、明らかにクリーニング作業中に起こったトラブルは、賠償を請求することができます。

クリーニング店に賠償を求められないケース

トラブルのなかには、利用者やアパレルメーカーに責任があり、クリーニング店に賠償請求ができないものもあります。

それらの事例を簡単にまとめると、以下のとおりとなります。

  • 利用者がつけたシミや汚れで、正常なクリーニングでは除去できないもの
  • 利用者がつけた焦げ、縮み、変色、損傷、虫食いなど
  • 利用者が自分で行ったシミ抜きや漂白による脱色・変色
  • 染色不良による、脱色や変色
  • 縫製不良による、ほつれや穴あき

上に示した事例のうち、最初の3つは利用者に責任があるもの、後半の2つはアパレルメーカーに責任があるものです。これらのケースでは、クリーニング店に賠償を求めることはできません。

勘違いしやすいのが、汗ジミ汚れの責任です。

汗がついた衣類をドライクリーニングすると、あとからシミが浮き出ることがあります。クリーニング前についてなかったシミが、クリーニング後に出てくるので、お店の不手際のように見えます。

しかし、実際は元からついたままの汗汚れ成分が浮き出たものなので、クリーニング店に責任はありません。利用者側の責任と考えられます。

賠償を求めることはできないので注意が必要です。

そもそも、ドライクリーニングでは、汗汚れを落とせません。水を使ったウェットクリーニングや、汗抜き加工の利用がおすすめです。

ドライクリーニングで汗汚れを落とせない理由や、汗抜き加工の原理、おすすめのお店については以下の記事で詳しく説明しています。

賠償金額の決め方

衣類のトラブルが、クリーニング店の責任によるものだと証明できた場合は、賠償金額を決める必要があります。

クリーニング事故賠償基準では、賠償額を、以下の方式によって決めます。

賠償額 = 物品の再取得価格 ✕ 物品の購入時からの経過月数に対応して別表に定める補償割合

物品の再取得価格とは、トラブルにあった衣類と同じものを、もう一度新品で買い直すときにかかる費用です。

しかし、賠償額は、トラブルにあった衣類の新品を買い直せる額がもらえるわけではありません。購入時から、どれだけ利用し、経年劣化が進んでいるかに応じて、補償する割合が異なります。

たとえば、ほぼ新品の新しい衣類がトラブルにあった場合は100%の額を補償しますが、古くなった衣類だと50%しか補償されないこともあるのです。

その補償割合は、「物品の購入時からの経過月数に対応して別表に定める補償割合」によって決まります。

クリーニング事故賠償基準に詳しい記載があるので、参照してみてください。

基本的には、購入してから、年月が経った衣類ほど、補償割合が低くなる傾向にあります。

購入してから4ヶ月未満かつ、常識的な着方をした(極端に素材を傷める着方をしていない)冬物スーツの場合、補償割合は100%です。

新品を購入するのと同じ額が補償されます。

しかし、同じスーツでも、購入から12~16ヶ月たったものの場合は、72%しか補償されません。

衣類の状態によって、100%の金額が賠償されるわけではないので、注意が必要です。

しかし、なかには、古いからこそ価値がある衣類もあります。

だれかの形見の品である衣類や、骨董品・ビンテージ物海外からの輸入品で新規購入ができないものなどの衣類は、この方式で賠償額を決めません。

別途、特約を結ぶことが望ましいとされます。

特別な賠償額の設定方法

上記の方式では、正確な賠償額が決められない場合、特別な賠償額の設定をすることがあります。

特別な賠償額の設定方法では、

  • ドライクリーニングを利用したとき:賠償額=クリーニング料金の40倍
  • ウェットクリーニングを利用したとき:賠償額=クリーニング料金の40倍
  • ランドリーを利用したとき:賠償額=クリーニング料金の20倍

と定められます。

この設定方法が使われるのは、

  • 衣類が紛失した場合(盗難を含む)
  • 火災などにより滅失した場合
  • 特殊品である場合
  • 衣類が原形を留めないほど破損した場合

です。

衣類の劣化具合を確認できなかったり、時間が経っているほど高価と判断される衣類に使われます。

賠償額が減る場合

利用者がクリーニング店に衣類を渡してから90日以上経ったのに、利用者が衣類を受け取らなかった場合は、賠償額が減る可能性があります。

たとえば、利用者が衣類を受け取らず、長い間保管した結果、虫食いや変色があった場合が当てはまります。

この虫食いや変色は、衣類を受け取らなかった利用者に責任があるため、お店側に賠償責任はありません。

お店が賠償額を支払わなくてよい場合

クリーニング店に責任があるトラブルでも、お店に賠償責任が生じないケースもあります。このケースに当てはまった場合、賠償金は1円も支払われません。

簡単にまとめると、

  • 利用者が衣類に事故がないことを確認した書面をお店に提出した場合
  • 利用者が衣類を受け取ってから6ヶ月経過したとき
  • クリーニング店が衣類を受け取ってから1年経過したとき
  • 自身や豪雨など、クリーニング店に責任のない自然災害が原因であるとき

の4つが当てはまります。

1つ目の、「利用者が衣類に事故がないことを確認した書面をお店に提出した場合」とは、利用者が形として残る書類にサインをすることを指します。口頭での確認は当てはまりません。

お店で、事故がないと思って受け取ってしまった。家に帰ってからシミがあるのを見つけたが、もう受け取ってしまった以上賠償はしてもらえないのかしら。

と思っている方でも、書面にサインさえしていなければ、まだ賠償金をもらえる可能性があります。

ただし、衣類を受け取ってから6ヶ月以上経ったときに気づいた場合は、お店側の賠償責任がなくなっています。

宅配クリーニングの場合、保管サービスを利用する方もいるかと思います。

通常、クリーニング業者が受け取ってから1年以上経った衣類は、お店側に賠償額を支払う義務はありません。

しかし、保管サービスを利用した場合は、1年という期限に保管サービスを利用した日数がプラスされます。

3ヶ月の保管サービスを使った方は、お店に衣類を渡してから1年と3ヶ月が、お店に賠償責任が発生する期間の上限です。

クリーニング事故の泣き寝入りを防ぐには

クリーニングを利用する以上、事故はどうしても発生する可能性があります。人間が作業をして衣類を洗浄するので、どうしてもミスを0にするのは難しいからです。

一切の対策をしないままクリーニングを利用すると、いざトラブルが発生したときに賠償金が支払われず、泣き寝入りしなくてはなりません。

泣き寝入りを防ぐためには、2つのポイントに注意する必要があります。

クリーニングに出す前の記録を残す

シミ抜きの前と後の比較

クリーニング事故の賠償金をお店に請求する場合、お店側に不手際があったことを証明しなくてはなりません。

明らかな破れや破損があれば証明は簡単ですが、小さなシミや汚れができたときは、証明が難しいです。「元からあった汚れ」だと捉えられる可能性があるからです。

大事な衣類をクリーニングに出すときは、出す前の状態を記録しておくのがよいです。写真が一番手軽で確実な方法だと思います。

出す前の記録があれば、返却後の状態との比較ができ、お店の過失を証明しやすくなります。

チェックはできるだけ早く行う

利用者が衣類を受け取ってから6ヶ月以内に申し立てをしないと、賠償金は受け取れません。

クリーニングが終わった衣類を受け取ってから、長期間クローゼットで保管する方も多いかと思いますが、それはやめた方がよいです。

衣類を受け取ったら、できるだけ早く確認を済ませましょう。

一番よいのは、受け取るときに店員さんと一緒に確認する方法です。お店で確認してしまえば、万が一トラブルがあってもすぐに対応してもらえます。

また、店員さんも一緒に衣類を見るので、自分以外にもうひとり証人がいることとなります。

まとめ

クリーニングを利用したとき、トラブルが発生しても、損害を賠償する仕組みがあります。

しかし、その仕組みを利用するには、いくつかの条件が必要です。被害にあった衣類の購入金額が100%賠償されないこともあります。

クリーニング店でトラブルが発生した場合は、そのお店が採用する賠償基準を確認してから問い合わせた方がよいと思います。

また、トラブルが起こらないよう、未然に工夫をするのも重要です。

以下の記事では、私が宅配クリーニングを実際に利用したときの体験談をまとめています。

宅配クリーニングを利用するときの注意点についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

クリーニングの裏技に関する記事はこちら

この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
宅配クリーニングの教科書は「むささび式部」が担当しています。宅配クリーニングのホームページを見てはお得で便利なお店を探すのに夢中。すぐ食べ物を服にこぼすので、効果的な洗濯方法も研究中です。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

ありがとうございます。

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